京都府立医科大学 教育センター

menu

活動内容

【早期体験実習医療者としての第一歩を踏み出す ― 感じて学ぶ4日間 -

令和7年6月3日(火)より、医学科1年生を対象とした実習科目「早期体験実習」が始まりました。
写真はその初日、河原町キャンパスでの集合時の様子です。

清潔な白衣に身を包んだ学生たちが緊張と期待を胸に一堂に会し、
教育センター長・天谷先生の激励の言葉に真剣な面持ちで耳を傾けました。

「早期体験実習」は、入学直後の1年生が附属病院における医療現場を実際に訪れ、
見学だけでなく医療者のシャドーイングや患者エスコートを通じて多職種連携のあり方を体感的に学ぶ実践型プログラムです。

医学生が、看護師、薬剤師、臨床検査技師、放射線技師、栄養士、臨床工学技士、研修医など、
多様な職種の働き方を間近に観察し、患者中心のチーム医療を理解することを目的としています。

最終日の振り返り

実習は4日間にわたって行なわれました。最終日には6名程度のグループごとに振り返りセッションを実施しました。
ここで用いられるのが「Significant Event Analysis(SEA)」という振り返り手法です。
これは、学生が実習中に心を揺さぶられた出来事(significant event)をもとに、

・どのような感情を抱いたか
・なぜそう感じたか
・そこから何を学んだか

を内省し、言語化することで学びを深めていく活動です。

この手法は、近年注目されている医師のプロフェッショナリズム教育においても重要な位置を占めており、
専門職としての自覚と倫理的態度を育むうえで極めて有効とされています。
学生は、自らの感情や戸惑いに正面から向き合いながら、「医療者としてどうあるべきか」を考える
貴重な機会となっており、初学者にとって自己省察や生涯学習の技能を身につける最初の機会にもなっています【1】

学生からは、
「看護師さんの動きから、患者さんの小さな変化を見逃さない力が必要だと実感しました」
「検査結果をもとに、医師、看護師、薬剤師、検査技師など、さまざまな職種のスタッフが
 意見を持ち寄ってカンファレンスに参加していて、立場を超えた協力体制に感動しました」
「患者さんの身体的負担だけでなく精神的負担を軽減するためにも多くの工夫や配慮がなされていることを改めて理解しました」
「医療者同士の良好な雰囲気が、患者さんにとっても安心できる、安全な医療につながっていることを学びました」
「内視鏡手術を見学した際、切除されたがんを自分の目で見たことで、自分が医療者になることという自覚がはっきり芽生えました」
などの感想が聞かれ、各々が現場から多くの学びや気づきを得た様子がうかがえました。

未来の医療人へ

本実習を通じて、1年生たちは単に医療の知識を得るだけでなく、
医療現場で働くすべての人々の思いに触れ、
人と関わる専門職としての第一歩を踏み出しました。

教育センターでは、彼らが今後の学生生活を通じてこの経験を育み、他者を尊重し、
感受性と省察力を備えた医療者として成長していくことを心より期待しています。

【1】大西弘高, 錦織宏, 藤沼康樹・他. Significant Event Analysis:医師のプロフェッショナリズム教育の一手法. 家庭医療 2008 : 14(1) : 4–13.