京都府立医科大学 教育センター

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第57回日本医学教育学会大会に参加・発表しました

天谷教授、金子講師、村上助教、Edsall 助教は、
2025年7月25日(金)~ 27日(日)に秋田市にて開催された
第57回日本医学教育学会大会 に参加しました。
本学 教育センターからは以下の2演題のポスター発表を行いました。

村上 嵩至   Takashi Murakami  助教
演題:「行動科学教育において初学者が感じる難しさ―医学科 1 年生の自己評価に基づく検討―
Challenges faced by first-year medical students in behavioral science.」

本研究において実施した「学生による講義の理解度評価」は、もともと私自身の授業改善を目的としたものでした。しかしそこで得られた知見を、行動科学に携わる他の専門家と共有すべきと考え、学生が難解だと感じた講義を特定、その要因を分析、結果を報告しました。
行動科学では、「構成概念」という抽象的な理論的構成物を扱うことが多いため、そうした理論や用語の言語的理解がより良い学習の鍵となります。しかし、こうした用語の中には誤解や誤用を生みやすいものも多く、それが学生のつまずきに繋がっていることが本研究により示唆されました。例えば、行動科学(正確には行動分析学)では「負の強化」という用語があります。この言葉を初めて聞いた方は、どのような内容を連想されるでしょうか。この用語は「ある刺激が行動の結果として消失することで、その行動の以後の生起確率が上がる」ことを意味しており、例えば「頭痛がするので鎮痛薬を飲む(飲むことで痛みが消失する)」「寒いのでコートを着る(着ることで寒さが消失する)」といった現象を説明するものですが、一般的な連想される内容とのギャップが大きい用語であると思われます。
また、行動科学の理解には、観察や実験を通して一意解を求める実証主義的アプローチだけでなく、多角的観点からの複数の解釈を認める構成主義的アプローチも必要となります。例えば、ある問題行動を対象とした場合、その原因を生活習慣に求めることもあれば、心理的ストレスや家庭環境、あるいは文化や社会のシステムといった広い視野から捉えることもあります。また本人の過去経験や知識といった個人的要因に求めることもあります。こうした多様な理解に応じて、解となる支援や介入の方法も異なります。学会では、それらを身につけるためにどのような教育方法を設計すべきか議論しました。

エデソル ドミニク  Dominic Edsall 助教
演題:「A Systematic Review of English Syllabi in Japanese Medical Schools」

本研究で、日本の81の医学部で提供された2024年のEFL(英語)コースのシラバスを分析した結果、コースの目的、教授法、評価方法に大きなばらつきが見られました。多くのシラバスが国際化や英語コミュニケーション能力の育成に十分対応できておらず、モデル・コア・カリキュラムとの整合性にも課題があることが明らかになりました。これらの結果から、日本の医学部では、より統合的で実践的なEFL教育の導入が必要であると結論づけられました。また、今後の医学実践やグローバル化に対応するため、カリキュラム設計者や政策立案者に対して具体的な改善策が提案されました。

This study analyzed the 2024 EFL course syllabi from 81 Japanese medical schools and found significant variation in course objectives, teaching methods, and assessment strategies. Many syllabi did not sufficiently address internationalization or the development of English communication skills, and alignment with the Model Core Curriculum was inconsistent. Based on these findings, the study concluded that more integrated and practice-oriented approaches to EFL education are needed in Japanese medical schools. Recommendations were made for curriculum designers and policymakers to enhance EFL instruction in line with global trends and the evolving needs of modern medical practice.


Edsall助教のポスター発表の様子。活発な質疑応答が行われました。

秋田竿灯まつりの様子が壁面に描かれています。

蓮の花と村上助教。会場のあきた芸術劇場ミルハスは蓮で有名な久保田城跡の堀に面しています。
キャベツサイズ(Edsall助教談)の蓮の花がたくさん咲いていました。